2022年1月29日(土)、「翻訳フォーラム式辞書デー2022」セミナーに参加しました。
昨年の開催発表時からずっと楽しみにしていたセミナーでした。
事前に配布されたPDF資料も非常に充実していましたが、13:00~17:00の長丁場にわたる講演は素晴らしいものでした。
本当はすべて記載したいところですが、今回は帽子屋さん、さきのさんのお話のなかで印象深かった点、響いた点をまとめます。

帽子屋さんこと高橋聡さんのお話の中では、各種辞書の使い方、長所と短所、Tipsを伺うことができました。
翻訳フォーラム主催のセミナーは継続的に受講していますが、毎回、辞書についての新たな発見があります。

帽子屋さん(勝手な呼称すみません…)のお話の中で響いたのは、「辞書引きの出発点は、自分の語彙と向き合うこと」という点です。
なるほどなぁ、確かにそうだなぁと思いました。
この点については、帽子屋さんのお話も、さきのさんのお話も通ずるところがあると思います。

個人的には、その語に対して自分が認識している色と形?大きさ?の一致あるいはズレを確認する作業だと捉えています。
そして、帽子屋さんが仰っていたのは「言葉をめぐる無意識の部分を意識化すること」という点です。
潜在概念を顕在化するというということかなと捉えていますが、これも納得させられました。

言い換えると、翻訳者として「説明可能な次元にもっていく」、「言語に対する説明責任を負う」ということかもしれません。
(「なんとなくこうしました」ではプロとして通じないはずですから。)

そしてそして、当然のことながら「完全な辞書などない」、また「特徴によって使い分けが必要」という旨を仰っていました。
また、英和や英英、国語といった各種辞書の特徴や、個別辞書の特長についても解説されました。
この点について、私の辞書環境ではカバーする範囲が狭すぎるため、まずは少しずつ辞書を拡充していこうと考えています。

ひとつ興味深かったのは、Weblioでも「出自の正しい」辞書は割と使えるかもという点です。
これは確かHuman Poweredのセミナーでも仰っていたと記憶しています。

次に、高橋さきのさんのお話の中で印象的だったのは、
「辞書引きというのは意味を調べること自体が主目的ではない」という点です。

私の理解が正しければですが…というより私の考えですが、辞書引きはどこか「確認のために行っている」部分があるのかもしれません。
ときどき、頭の中に浮かんでいる○○という訳語を使えるかどうか、確証を得る?ために辞書を引いているときがあります。
表現しづらいのですが、色が合っているかどうかを確かめると言ったほうが近いかもしれません。
黄緑を使いたいのに、辞書で出てくるのは深緑ばかりだと、ニュアンス、スコープが違うということで「○○は訳語として使えない」と判断するかもしれません。

確か、さきのさん(下のお名前で書いてすみません…)のお話の中で帽子屋さん(勝手に呼んですみません…)が仰っていたのが、「森の中でキノコを拾ったり花を摘んだり」というお話だったと思います。
意味するところは、おそらく「寄り道をする過程で周辺知識や後から使える知見が培われていく」ということかなと推測しています。
これには完全に同意します。むしろキノコしか拾っておらず、何をしに森に来たのか忘れるときさえあります笑
ですが、これがいいのかもしれません。

やや脱線しますが、私が高校生の頃にはまだペーパーの辞書を使っていました。
英語が大好きだった私は、辞書を引くというより本当に読んでいました。
ペーパーの辞書だと、周辺知識(ときには無駄知識?)が目に入ることも多く、そこから新たな発見があったと記憶しています。

また、「双方の言語で<<ことば>>の鬱蒼とした森を育てる」ことが重要であり、そのために辞書を活用すべきという旨を仰っていたと思います。
そうだと思います。私など数本の木々か、せいぜい林レベルにしかなっていないでしょうが、森を目指していきたいと思いました。
さきのさんのお話は、良い意味で非常に抽象的、高次にあるなぁと感じました。
配布資料も含め、「ああ、そうですそうです」と頷ける部分が多々ありました。
言語化するのが難しい部分を顕在化していただいているようで、個人的には非常に心地良く感じます。
それこそ何度も復習しないと、やっと掴みかけたゴム紐がまた手から離れてしまうような感覚です。

翻訳フォーラム主催のセミナーで得る情報量は本当に膨大なものです。
これはひとえに、講師の知見とご経験によるものだと思います。
例えるなら、何度噛んでも味があるように復習すればするほど得るものがあります。
ただし、私のようなレベルの者がこの膨大な情報量を咀嚼するには、まず優先順位をつけ、現時点で処理できないものは後回しにする必要があると感じました。
これは、セミナー全てに言えることかもしれません。雑な内容ながらこうしてブログにまとめることもその一環と言えるでしょう。

とまぁ、あれこれ思い、考えるところはありましたが、何とも言えぬ充実感を覚えているのが実際のところです。
翻訳フォーラムの皆さま、毎回お世話になっております。
今回も貴重なセミナーを開催していただき、本当に感謝しています。
ありがとうございました!

#辞書デー0129

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