2023年4月22日(土)19:00~22:00、HUMAN POWEREDさん主催のセミナー「ChatGPTは翻訳を変えるのか」に参加しました。

講師は、ソフトウェア開発とコンサルティングがご専門の酒匂寛さま、そして奈良先端科学技術大学院大学の准教授、須藤克仁さまでした。
最初にお二方から講演があった後、Kaori Myattさまを交えてのディスカッションが行われました。以下、ネタバレにならない範囲でBlogにまとめさせていただきます。

「AIと人間が協力する時代へ:生成型AIの可能性と限界」(酒匂寛さま)

第一部の酒匂さまの講演では、AIの現状と今後の可能性についてのご説明がありました。

まず、ChatGPTをはじめとしたGenerative AI(生成AI)については日進月歩の進化を遂げており、日を増すごとに機能強化が進んでいるようです。
有名どころのChatGPTのほかにも、BardNotion AIなど、各社が競って新サービスを発表しているようです。

以下、特に明示しない限り、ChatGPTを前提に記載します。
ChatGPTについては、GPT 3.5とGPT 4.0で明らかな機能差があるようです。

酒匂さまの講演のなかで気になったのは「プロンプトエンジニアリング」でした。
ちなみに、「プロンプト」とは生成AIエンジンに対するコマンド(画面上の指示)を指します。
プロンプトエンジニアリングとは、簡単に言うと「言語モデルを効率的に使用するためのプロンプト開発および最適化」を意味します。

プログラミングを例にすると、人間が書くと数十分かかるであろうプログラムコードについて、ChatGPTを使えばわずか数十秒、数分で書き上げることができそうです。
このとき、プロンプトエンジニアリングが必要となります。
私も仕事でプログラムコードを書くことがありますが、メソッドごとに書かせるなど、ChatGPTに対するプロンプトを工夫すれば、本当に数秒でコードを書いてくれます。

今回のセミナーサイトでの自己紹介のなかでも書かれていますが、「AIには人間がミスしやすい煩雑な仕事を明快な仕事の指示と共に任せるのがコツ」ということを学びました。

「ニューラル機械翻訳からChatGPTへ:技術の進化と課題、等々」(須藤克仁さま)

次に、NMTからChatGPTへの変遷について須藤克仁さまから講演がありました。
大学で教鞭をとられている先生のお話を伺うと、私の認識が誤って可能性に気づきました。例えば、世に出ているもの何でもAIと呼ばれているきらいがありますが、その定義はまちまちなのかもしれません。

講演を聴いていて感じたのは、ChatGPTに関して言うと、人間が普段の言葉で気軽に使える点が最大のメリットではないかという点です。
また、酒匂さんのお話に通じるところがありますが、やはりプロンプトの工夫により多様な処理が可能になる点もメリットと言えそうです。

講演のなかでは、
・士業関連法違反の懸念
・著作権法への抵触
といった課題についても触れられていました。

私は翻訳実務に携わっているため、個人的にはデータの所有権や搾取といった倫理的側面の課題をどうクリアするかが問題になりそうだと感じました。

そして講演の最後に、須藤さまが強調されていたのは、「ことばの力」についてでした。
やはり、最後はプロが紡ぎ出すことばに勝るものはないのかなという感想をもちました。

今回も貴重なお話から多くの学びがありました。ありがとうございました。

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