2020年7月26日(日)、翻訳フォーラム主催の「おうちでレッスン1 最初に買う辞書・使う辞書」セミナーへ参加しました。

このセミナーの中では、深井裕美子さんが翻訳の実演を交えながら辞書の活用法を紹介されました。

実際の動画字幕の翻訳についてお題が出され、どう訳すかをあてられました。
ついていくのに精一杯なところがありましたが、以下の手順が大切となるようです。

<翻訳の手順>
① 原文の意味を正確に把握する
② 使えそうな訳語の候補を複数挙げる
③ 候補の中から原文の意味を正確に表す訳語を選ぶ

私の理解するところ、「① 原文の意味を正確に把握する」とは、社会常識はもちろんのこと、原文読解力の問題だと思います。

「② 使えそうな訳語の候補を複数挙げる」の注意点として言及されていたのは、「初めから使えるものだけに限定して挙げようとしないこと。思いついたものをどんどんメモすること」という点でした。

そして、「③ 候補の中から原文の意味を正確に表す訳語を選ぶ」において重要なのは、「原文と訳文の絵が同じになるもの」を選ぶという点でした。
言い換えると、情報量の過不足があるもの、つまり原文の情報量に対し、足し引きを行っているものは不適切とのことです。
翻訳のレッスン』や他のセミナーでも触れられていましたが、これには心底同意します。
しかし、実務においてできているかと言われれば、自信をもって「Yes」と言えるか疑問なところです。

また、「③ 候補の中から原文の意味を正確に表す訳語を選ぶ」の注意点として挙げられていたのは、「論理展開が変わらないものを選ぶ」という点でした。

上記のような翻訳の基礎についてのお話があり、その後に辞書のお話へと移りました。

辞書の種類と名前については、ある程度把握していましたが、その分類となると、うまく答えられないものばかりでした。
なお、詳細については、「翻訳者の薦める辞書・資料」としてまとめられています。

ここで大切なことを仰っていました。それは「大は小を兼ねるわけではない」ということです。
つまり、「大」辞典が「小」辞典や「中」辞典の内容を網羅しているわけではないということです。
辞書と言えば、「大きいもの、収録語数の多いものを買っておけば大丈夫でしょ」と思いがちですが、この点には注意とのことです。

また、うんのさんの辞書についても触れられていました。
最近の傾向としてはオンラインの辞書、iOS上で動くアプリ辞書などに勢いがあるようです。
個人的には、EBWinとPasoramaをメインで使うことが多く、今後、オンライン辞書等の拡充を行っていく必要性を感じました。

セミナーの中では、なぜその訳にしたのか、辞書の記載を基にして逐一熟慮されている様子が窺えました。
当たり前のことかもしれませんが、深井さんのお話を聴いていて感じたのは、「一語一語なぜそう訳したのか説明できる」ことが重要だという点です。

また、「説明できる=辞書に載っている」ということではない点も大切だと感じました。
毎日、とてつもないスピード、生産性を求められる実務においては蔑ろになりがちな点ですが、翻訳に携わる者としては基礎の基礎だと感じました。

深井裕美子さんはじめ、翻訳フォーラムのみなさま、ありがとうございました!

#辞書0726

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