2017年05月22日(月)10: 00~12: 00、Terryさんこと、齊藤貴昭さんによる「誰も教えてくれない翻訳チェック ~翻訳者にとっての翻訳チェックを考える~」セミナーを受講しました。

セミナーでは、タイトルのとおり、翻訳者にとって翻訳チェックとしてどのような工程を経ればいいのかについての説明がありました。
私が過去に在籍した翻訳会社でも、翻訳・ローカライズを工業製品に例え、工程ごとの品質管理が推奨されていたため、非常に理解しやすいものでした。

最初に語られていたのが、翻訳品質の保証工程ごとの因子(要素)をすべて抽出するという点でした。
因子分類の手法としては、次の5Mが一例に挙げられていました。
・Material
・Machine
・Method
・Measurement
・Man

そして、抽出した因子ごとに翻訳品質保証マトリックスを作成し、これをもとに品質保証工程を考えることが推奨されていました。
このとき重要となるのは、「どの工程で何を保証しなければならないか」という点だそうです。確かに、曖昧模糊としたまま漠然と各工程を進めるべきではなく、各工程に目的を持たせるべきだと思います。
会場では、実際のマトリックス例をいただきましたが、非常に精緻な作りとなっていました。

すべて書くことなど到底できませんが、Terryさんの言葉の中で響いたものをピックアップします。

その1つは、
「精神論では品質は担保できない」
という言葉です。
仰るとおりだと思います。
「気をつけます」など口ではいくらでも言えますが、それで防げるならヒューマンエラーなど問題になるはずがありません。

もう1つは、
「ツールは刃物と同様に扱うこと」
という言葉です。
私の理解ですが、「ツールを使う人」と「ツールに使われる人」がいるように感じます。
誤って「ツールに使われる人」になってしまうと、ツールのもつ危険性が露見してしまい、品質に影響が生じます。
簡単に言うと、ツールを使ったがゆえに、エラーを発見できなかったり、新たなエラーを入れてしまったりすることもあるように思います。

セミナーの中でも触れられていましたが、「そもそもミスをしない仕組みを作ることが重要」だと思います。
それはプロセスの順番かもしれませんし、プロセスの内容かもしれません。
担当者かもしれませんし、ボリュームかもしれません。

前述の「精神論では品質は担保できない」に通じるものですが、私が考えているのは、
「客観面から考える」という点です。

翻訳のエラーには、タイポや数字のミスなど、どう考えても言い逃れのできないObjective Errorがあります。読みやすさの問題もありますが、まずはObjective Errorがゼロでなければ土俵に上がれないと言っても過言ではないと思います。
そこで、プロセスを考慮する際も、客観面のエラーをゼロにする点を優先すべきではというのが個人的な意見です。

とまぁダラダラと書いてしまいましたが、Terryさんの考え方から学ぶ点、考えさせられた点は多々ありました。うまく言葉にできないところもありますが、客観的視点、俯瞰的視野というものが鍵になってくるような気もします。

このセミナーで得た考え方をもとに、自分の翻訳チェックプロセスもアップデートする予定です。貴重な機会を設けていただき、ありがとうございました!

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